2021年から日米金利差の拡大を背景として進んだ円安は2024年6月に一時162円に到達しました。
そのあと、米国の景気後退懸念と日本銀行の利上げによって日米金利差が縮小して140円台まで巻き戻しが発生しています。
皆さんの中には以下のように考えている方が多いのではないでしょうか?
- もう円安は終わったのか?
- 今後また円安になるのか?
今回はこのような疑問についてファンダメンタル側面からお伝えしていきたいと思います。
結論から申し上げると、短期的には現在の円高調整が継続する可能性があります。
しかし、中長期的にはドル円は再び200円を目指して上昇していくものであると考えています。
今回はこのように考える理由についてお伝えしていきたいと思います。
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Contents
今までのドル円の上昇は日米金利差の拡大によるもの
まず、162円まで円安が進行してきた要因についてお伝えします。
最初にお伝えした通り2021年からのドル円上昇の原因は日米金利差の拡大です。
パンデミックから回復するためのバラマキで発生したインフレに対応するために、米国は金利をゼロ金利から5%超えまで急激に引き上げていきました。
一方、日本側ではインフレの立ち上がりが遅かったこともありマイナス金利を継続した結果、日米金利差が拡大していったのです。
金利がもらえる通貨と金利がもらえない通貨であれば、当然前者の方が魅力的ですよね。そのため円を売ってドルを購入する動きが加速していきました。
そして、キャリートレードも旺盛に行われました。
直接ドルを調達すると金利が発生するので、円を調達した上でドルに変換してドル資産に投資をするという潮流が発生したのも円安を後押ししていきました。
2024年に入ってからの円安と円高の要因
年初から6月までは日米金利差が縮小する中にあってもドル円は上昇を続けました。
これは皆さんご存知の通り、新NISAの存在があります。
新NISAを契機として今まで投資を始めていなかった方が全世界株式や全米株式に投資をしていきました。
外国株に投資をするということは円を売ってドルなどの外貨にかえて、海外の株を購入するということです。
つまり、皆さんが外国株に投資をすればするほど、円売り需要が発生するということです。
そして7月からの大きな円高調整は徐々に大きくなってきた米国の景気後退懸念と日本銀行の利上げによるものです。
日銀が継続的に利上げを行う構えをみせたことで日米金利差縮小の懸念がたかまり、キャリートレードの解消も発生しました。
短期的には米国の景気後退で円高調整となる可能性もある
短期的には130円台後半までの円高調整はありえます。
それは米国で軽い景気後退に陥る可能性がでてきているからです。失業率はついに完全雇用といえるリミットを超える4.3%となってきています。
ここから失業率が急騰する懸念が高まっています。
ただ、インフレがまだ高い状態では、景気が後退したとしても、そこまで金利を下げることもできないので若干の円高調整になるかと思います。
中長期的には資本流出で円安が進んでいく
ドル円には長期的なトレンドのながれがあります。そもそもドル円は金本位制が崩壊するまでドル円は360円の固定相場でした。
そこから2011年の東日本大震災の70円台後半まで円高がずっと進んでいきました。
しかし、そこからアベノミクスを契機として今度は円安方向に変わってきています。まだまだ序盤なのです。
先ほどお伝えした通り短期的にはドル円に日米金利差が大きな影響を及ぼします。しかし、中長期のトレンドを決定づけているのは資本流出です。
特に大きな影響を及ぼしているのが貿易収支です。
東日本大震災で原子力発電所を止めた影響で火力発電のウェイトが大きくなりエネルギーの輸入量が増大しました。
さらに世界的に資源の価格が上昇していくことも重なって貿易赤字に転じてしまっているのです。
近年では貿易収支とともにGAFAMのサービスを使うことによりサービス収支の赤字も顕著となっています。
貿易収支とサービス収支の両面から資本流出が加速しています。
現在、日本の経常収支を支えているのは所得収支です。所得収支は海外への投資で稼いだ金額のことをさします。
しかし、所得収支はかならず円転されるわけではありません。
稼いだ資本収益はそのまま海外に再投資される傾向が強く円転需要が発生しにくいので円高にもっていく力は非常に弱いのです。
つまり経常収支は黒字であるものの、円転需要より外貨転需要の方が高いということになります。
中長期的にもてドル円が200円を突破する時代がくる確度は高いといえるでしょう。
ここから訪れる円安時代から資産を守る方法とは?
さて、ここまで円安が進んでいく理由についてお伝えしてきました。では、この進んでいく円安からどのように身を守っていけばよいでしょうか?
この点について詳しくお伝えしていきます。
シンプルにFXでドル円を買う
まず、シンプルに円を売ってドルを買うという手法が考えられます。シンプルにFXをつかってドル円ロングということですね。
FXは外貨預金とは異なりレバレッジをかけることも可能な点が魅力的です。
ドル円の上昇というのは、あくまで「ドルに対して円が安くなっている」という相対的な話でしかありません。
ただ、そもそもドル自体も急激に価値が希薄化しているのです。以下はドルの流通量を示すM2の推移です。
急激に流通量が上昇しているので、ドル自体の価値も大きく下落しています。
ニクソンショックで金本位制から離脱してから、米国政府がドルを刷りまくっているのです。
そのため、円を売ってドルを購入するだけではインフレから身を守ることができません。
ただ、FXであればレバレッジをかけて金利を受け取ることができるので通貨の減価に対抗することができます。
ただ、当然レバレッジをかけすぎるのはリスクが高いのでしっかりと資金管理を行うようにしましょう。
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資産運用の王道である株式投資を行う
別に選択肢を為替に限定する必要はありません。株式は通貨の下落に応じて価格が上昇していくので有効な選択肢となります。
以下は歴史ある米国の株式市場です。かずかずの難局を乗り切りながら右肩上がりとなっています。
米ドルの量が増えてインフレしたとしても、物価自体も上昇していくので企業の業績も上昇していきます。
そのため、株価も上昇していくので中長期的にみるとインフレヘッジ資産になっているのです。
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不動産投資を行う
不動産投資も株式投資と双璧をなす投資先ですね。通貨の価値が落ちたとしても、土地の価値が落ちるわけではありません。
通貨の価値が落ちるにしたがって、金額ベースでの土地は当然上昇していきます。
以下はTOPIXと東証株価指数の推移ですが互角の動きとなっています。直近株価がオーバーシュートしていますが長期でみると誤差です。
しかも、上記はあくまでリートのリターンです。
レバレッジをかけて実物不動産に投資を行うことで更に高いリターンを獲得することができます。
「金」や「仮想通貨」「太陽光発電」も選択肢に
また、シンプルに金を保有するという手も有効なインフレヘッジとなります。円建ての金は上昇をつづけていますからね。
戦争などの情勢不安が起こると、ゴールドや株式(株価指数)は急騰する場面が見られることがあります。こうしたタイミングを利用して売買を行えば、単にインフレヘッジにとどまらず、資産を大幅に増やす可能性も広がります。市場の動きを見極めて、適切な取引のタイミングを掴むことが重要です。
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更に、近年はデジタルゴールドとも言われるビットコインをはじめとした仮想通貨も有力な選択肢です。
ビットコインは発行できる量に2100万枚という上限が設けられています。
そのため、発行量に限界がない現金に比べて価値の保存がされやすいという特徴があります。
ポートフォリオの10%程度仮想通貨を保有しておくことはインフレヘッジの手段として非常に有効な手段であるといえるでしょう。
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さらに注目すべきは、太陽光発電です。
自宅に太陽光発電システムを導入することは、将来の電気料金の高騰に対する有効な対策となります。太陽光発電を利用すれば、長期的に必要な電力を自ら確保し、自家消費することで、電気料金の上昇による家計への負担を軽減することが可能です。
特に、インフレが進行する中で電力コストが増加しても、太陽光発電による安定した電力供給が得られるため、経済的な恩恵は大きく、同時に環境保護にも貢献します。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- 円安が進んでいるのは日米金利差が拡大しいてるから
- 2024年に入ってからは新NISAの影響が大きくなっている
- 短期的には少しだけ円高調整するリスクはあるが140円台が精一杯か
- 貿易赤字の営業で累積的に円安が今後も進行していきドル円は200円を目指していくと想定される
- FXや株式や不動産や仮想通貨を用いてインフレヘッジを行おう