今後大きな成長が見込める新興国。その中でも世界を引っ張っていく存在となっているのが中国です。
多くの新興国は国家が成長して国民の所得が成長したとしても、先進国の製品やサービスを購入するので自国企業の利益はなかなか上昇しません。
しかし、中国は米国企業のサービスを規制し、自国の高付加価値の産業を育てることに成功しています。
つまり、国家の成功の果実を自国の株式市場に還流させることができる、数少ない新興国として注目を集めています。
ヘッジファンドの帝王であるレイダリオ氏もポジションを倍増させており、「世紀の空売り」バーリ氏なども中国株を積極購入しています。ますます中国株式には注目が集まっています。
上海政府のデータによると、11月初旬時点でブリッジウォーターの中国国内におけるファンドの規模は約190億元に達していた。その後、フィーダーファンドで27億元を調達した。
同社最初の中国ファンドは、2018年10月の設立後の4年間で、年率15.6%のリターンを達成。21年12月に立ち上げた別のファンドは、22年12月までの期間で8.4%の純リターンを実現したと、関係筋は語った。中国の主要株価指数であるCSI300指数は昨年、20%余り下げた。
かつて「投資不可能」とされてきた中国株が、ヘッジファンドにとって再びなくてはならない投資対象となっている。米証券取引委員会(SEC)に提出された株式保有状況の「13F」報告書では、中国政府が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を放棄したことを受け、ヘッジファンドが昨年10-12月(第4四半期)に中国株を積極的に購入したことが示された。
2008年の金融危機前に住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名になった投資家マイケル・バーリ氏も、中国株をロングにしている。
ヘッジファンドだけではない。実際、中国株の強気ポジションは、「最も混み合ったトレード」となっていることがバンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査で示されている。
筆者も2024年現在、最も注目している投資先が依然として割安に放置されている中国の株式市場です。
中国という国の魅力と株式市場の現状については以下にまとめております。
ポイント
【中国という国のファンダメンタル】
- 成長率は下がってきてはいるが依然として他の新興国より高い水準を維持
- 2028年には米国を抜いて世界1位のGDPを誇る超大国になる
- 人口ピラミッドはまさにバブル期直前の日本と同様の形状
- 総資本形成のGDP比率の高さは懸念されるが順調に個人消費も拡大している
- まだ1人あたりGDPは低く上昇余地は大きい
- ハイテク産業の興隆によって高付加価値産業へのシフトをおこなっている
- 政府債務はまだまだ安全圏だが企業債務は重い
- ただ一部の国有企業の債務が重いだけなので銘柄選択の際には避ければ問題なし
- 習近平政権3期目が発足、今後5年は安定政権が期待できる
関連:躍進を続ける中国経済!崩壊が囁かれているが実態は?特徴と今後の見通しを含めてわかりやすく解説。
【中国の株式市場】
- 中国株式市場は日本を抑えて世界第2位の規模に
- 中国株式市場と香港株式市場がある
- 中国本土市場のA株は規制が緩くなっており外国人が投資できるようになっている
- 中国株式市場は世界の株式市場の中でも非常に割安
- 1人あたりGDPは日本のバブル突入前と同水準
- 外国人保有比率はまだ2%台で今後流入余地が大きい
- 2024年9月から大規模緩和が実施され絶好の投資機会が到来している
- 中国株に投資するなら現地に精通した腕の良いファンドマネージャーに任せるのが吉
特に2024年は空前絶後の金融緩和によって株式市場の急騰が期待されます。
実際、同様に大規模な金融緩和を実施したアベノミクスによって日経平均株価は10年で4倍に上昇しました。
成長していない日本に対して、非常に高い成長力を誇る中国ということを考えると更に高いリターンとなることが想定されます。
中国の黄金時代が始まったと言える局面に立っているのです。
そんな魅力的な中国株式に投資をする方法として自ら個別株を運用するという方法とプロに運用を任せるという方法があります。
個別株投資ができるスキルと経験がある方ならよいのですが、中国企業の情報を取得するのは日本や米国の企業に比べて難しいです。
また、新興国特徴の値動きや重視されるポイントもあり難易度は非常に高いといってよいでしょう。
筆者も日本株と米国株で10年の経験がありますが、正直中国株に関してはお手上げといった状況です。
そのため、中国株式市場に精通しているプロに預けるという選択肢を取っています。
本日は大切な資金を預けるために筆者が精査した内容をもとに、おすすめできる中国株に投資するファンドをランキング形式でお伝えしています。
今回、重視するポイントは以下です。
リターン | 実績として高いリターンをだしているか?今後も高いリターンを狙うことができるか? |
運用者 | 運用者は経歴や実績がしっかりしている方なのか? |
ポートフォリオ | どのような特徴のポートフォリオになっているか?特定のセクターに偏っていないか? |
安全性 | 大暴落を免れることが可能か? |
Contents
第1位:年率リターン50%を狙う「オリエントマネジメント」
リターン ★★★★★ |
運用開始して3年間、上海総合指数や香港ハンセン指数が下落するなか基準価額を引き上げているヘッジファンド。アクティブリターンは3年で50%と素晴らしいパフォーマンスを上げており今後最も期待できるァンド。今後の上昇相場でどれほど高いリターンを挙げられるか大きな期待が寄せられている。 |
運用者 ★★★★★ |
日本株と新興国株で10年以上の経験がある東大卒の敏腕ファンドマネージャーが運用。以前運用していた新興国ファンドでも現地通貨建で年率100%程度のリターンをあげており今回も非常に期待できる。 |
ポートフォリオ ★★★★☆ |
バリュー株投資を得意としており企業価値から著しく下方乖離した価格で取引されている銘柄に投資を行なっている。PERが非常に低く、配当利回りが10%を超える銘柄を上昇する前に仕込んでアクティブリターンを作り出している。 |
安全性 ★★★★★ |
損失をださないことに定評のあるファンドマネージャーで2021年から2024年の調整相場でも高いリターンをあげている。 |
オリエントマネジメントは東大卒で外資系金融機関で経験を積んだ敏腕ファンドマネージャーが手がける中国株を対象としたヘッジファンドです。
ヘッジファンドとはいかなる市場環境でもプラスのリターンを追求する形式のファンドのことを指します。
そのため、欧米の富裕層や年金基金や保険会社から愛好されている金融商品となります。
オリエントマネジメントは2021年6月から運用を開始していますが、3年間で以下のような高いリターンをあげています。
オリエントマネジメント | 上海総合指数 | 香港ハンセン指数 | |
2021年下半期(6月〜12月) | 10.84% | 0.42% | -21.30% |
2022年通年 | 5.70% | -14.20% | -10.08% |
2023年通年 | 13.03% | -4.95% | -16.66% |
2024年(1月〜10月) | 33.83% | 10.72% | 24.79% |
累積リターン | 77.20% | -4.69% | -28.80% |
年率リターン | 18.90% | -1.44% | -9.78% |
オリエントマネジメントのファンドマネージャーも日本株や他の新興国でも実績を上げています。
日本株では年率平均10%以上のリターンを10年間1度も損失を出すことなく上げ続けています。
また、中国の前に手がけていた新興国ファンドでは以下のように卓越したリターンをあげています。
筆者はこの新興国ファンドに投資していたということもありオリエントマネジメントのことを知りました。
現地通貨建リターン | |
2018年 | 64.90% |
2019年 | 77.08% |
2020年 | 237.93% |
年率平均リターン | 114.49% |
ファンドマネージャーは旬な投資対象を見極める嗅覚が凄まじい方です。その時々で最もリターンが狙える投資対象を見つけて積極的に仕掛けていきます。
個人はおろか会社単位でも参入が難しい、株式市場に果敢に攻め込みます(口座開設すら困難な新興国など)。
そして、2021年から本格的な株式上昇が見込める先を中国と見定めて新規にファンドを立ち上げたそうです。
結果として2024年の大規模緩和の波を捉えることができる環境に万全の準備をもって臨むことができていますね。
そして、さきほどもお伝えしたとおり上海総合指数や香港ハンセン指数が下落する局面でも高いリターンをあげています。
ここから中国株全体が上昇する局面でオリエントマネジメントが大きく飛翔することが期待できます。
そのため、筆者も投資をしており今後非常に期待している中国株ファンドとなっています。
第2位:深センイノベーション株式ファンド
リターン ★★★★☆ |
ハイテク企業に集中投資をしているので投資タイミングがよければ数倍となることも見込めるファンド。ただ2022年からのITバブル崩壊にも似たハイテク企業への逆風は世界中に吹いていることや、中国政府が独禁法などの規制を匂わせていることからハイリスクな投資先ではある。 |
運用者 ★★★☆☆ |
誰が運用担当なのかは開示されていないが1999年入社の方が運用されている。 |
ポートフォリオ ★★☆☆☆ |
名前からわかる通り中国のハイテク産業に集中的に投資しており偏りがあることは否めない。爆発力がある反面、大きな損失をだすこともある点は十分留意する必要がある。 |
安全性 ★☆☆☆☆ |
安全性は期待できない。実際過去半年で25%下落しており中国株投資信託の中でも下落耐性の低さは欠点となっている。 |
深セン・イノベーション株式ファンドが投資を行うのは深センに拠点をおくイノベーション企業です。
深センは中国のイノベーションを先導する都市として世界に名乗りを上げており、テンセントやDJI、BYDなどのハイテク企業が拠点を置いています。
名前からわかる通り社会を変革する可能性のあるハイテク企業に投資をおこなっています。
ハイテク企業は基本的にグロース企業なので、調子のよい時は株価を勢いよく伸ばしていきます。
しかし、一旦逆流が開始となると奈落の底まで突き落とされる傾向にあります。
ハイテクグロース企業は世界的に2020年のパンデミック発生後に勢いよく株価を上昇させました。
しかし、その反動で2021年末からは逆風にさらされており、終わりの見えない下落に見舞われています。
2022年の段階からハイテク企業一本に投資をしているファンドに投資するのは得策とはいえません。
今後、ハイテク株の下落が落ち着き、いよいよ上昇が見込まれるというフェーズになった時にポートフォリオの一角として考えるのがよいでしょう。
今は「その時」ではありません。ただ、時がきたら魅力的なので2位ということでランクインさせています。
第3位:新成長中国株式ファンド(愛称:シャングリラ)
リターン ★★★☆☆ |
香港市場や中国株式市場に幅広く投資する投資信託。全体型としては優秀な成績を収めているがオリエントマネジメントほどは期待できない。 |
運用者 ★★☆☆☆ |
誰が運用担当なのかは開示されていないため星2つとした。 |
ポートフォリオ ★★☆☆☆ |
一般的に有名な企業を中心に組み入れられているバランス型のポートフォリオ。平均点以上を狙うのに適している。 |
安全性 ★★☆☆☆ |
1つの産業に投資しているファンドに比べると安全性はあるが、上海総合指数よりも値動きが荒い点は難点。 |
中国株全体に投資をするポートフォリオだが主に以下の産業に属する企業を投資対象としています。
- 都市部と農村部の格差解消により恩恵を受ける企業
- 新たなサービスを提供する企業、省エネ、環境保全に注力している企業
- 近隣諸国とのビジネスや人的交流の拡大で恩恵を受ける企業
国有企業中心でパフォーマンスが悪い上海総合指数よりは優れた成績をおさめており平均点以上を狙えるファンドとなっている反面、
値動きの大きさは上海総合指数より大きくなっており、ある程度の損失が発生することも覚悟しておく必要があります、
〜番外編〜楽天証券で買える中国株ファンドは?
楽天証券で購入できる中国株ファンドは以下です。一番規模が大きいのはUBS中国新時代株式ファンドですね。ただ上海総合指数や香港ハンセン指数に連動する投信が多く、やはりリターンにワクワクするような投資対象は少ないですね。
ファンド名愛称 | 楽天証券分類 | 管理費用 | 純資産(億円) |
チャイナ・グッドカンパニー | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.98% | 12.3 |
損保ジャパン拡大中国株投信 | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.71% | 13.24 |
三井住友・インド・中国株オープン | アジア株式-為替ヘッジ無し | 2.01% | 23.77 |
HSBC 中国クオリティ株式オープン | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.96% | 6.9 |
HSBC中国クオリティ株式ファンド(3ヶ月決算型) | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.96% | 5.12 |
日興AM中国A株ファンド黄河 | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 2.31% | 20.73 |
三井住友・アジア4大成長国オープン | 先進国・新興国株式(広域)-為替ヘッジ無し | 1.96% | 15.34 |
HSBC中国株式ファンド(3ヶ月決算型) | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.96% | 37.98 |
新成長中国株式ファンドシャングリラ | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.76% | 23.25 |
UBS中国新時代株式ファンド(年2回決算型) | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 2.06% | 42.63 |
UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型) | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 2.06% | 151.19 |
DIAM中国関連株オープンチャイニーズ・エンジェル | 中国・香港株式-為替ヘッジ無し | 1.76% | 20.83 |
需要があれば、それぞれの投信も分析したいと思います。
筆者の場合は中国株で国有企業などへバリュー投資を通してハイリターンを狙っていくオリエントマネジメントに期待を寄せており実際に結果も出ているので、あまり触手が動かないのが実態です。