2020年からのコロナバブル、ハイテクグロース株の暴騰を受けて、日本でも様々なテーマ投信が組成されました。
当ブログでも様々なファンドを取り上げてきました。以下は代表的な例です。(ほんの一部です)
ハイテクファンド
- 【愛称:The 5G】人気の投資信託「次世代通信関連世界株式戦略ファンド」を徹底評価!評判通り今後の見通しも明るいのかを含めて解説。
本日取り上げるのは日興アセットマネジメントが運用するグローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドです。
名前に「グローバル」と「イノベーション」が入っており、名前からは儲かる雰囲気がただよってきますね。
本日は同ファンドについて、以下の観点を中心にお伝えしていきます。
- どのようなファンドなのか?
- 今後を見据えて投資妙味はあるのか?
Contents
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドの特徴(運用会社:日興アセットマネジメント)
まずは、どのようなファンドなのかという特徴についてみていきたいと思います。
破壊的イノベーション銘柄に投資
投資対象は世界の破壊的イノベーション関連企業としています。
「破壊的イノベーション?」と疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、米国株投資をしていれば馴染み深い単語です。これは次の項目で明らかにします。
破壊的イノベーションとは以下であると目論見書にて定義しています。
商品やサービスの性能をより高める「持続的(継続的)イノベーション」に対して、既存の技術やノウハウの価値を 破壊し、まったく新しい商品やサービスを生み出すものと当ファンドでは定義しています。
参照:目論見書
また、特にSDGs関連の銘柄を集中的に選定していると宣言しています。
アーク社(ARK)の調査力を活用
「破壊的イノベーション」といえば「アーク(ARK)」といっても過言ではありません。
アーク社の旗艦ファンドARKK(=ARK Innovation ETF)は破壊的イノベーション銘柄に投資を行い2020年に一斉を風靡しました。
ファンドマネージャーのキャシー氏は一躍時の人となりました。この顔に見覚えはないでしょうか?
アグレッシブなパワフルウーマンといった感じです。
以下は旗艦ファンドであるARKKのチャートです。2020年に大相場に完全にのりバブル的な動きとなったあと、停滞して暴落しています。
結果的に2019年と同水準に落ち着いています。むしろもっと下がってますね。
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドが組成された2021年初頭はまだ調子がよかったのでアークにあやかろうとしたわけですね。
因みにARKの助言を受けているのはグローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドだけではありません。
最初に挙げたゼロコンタクトもARKの助言を受けています。
ARKKと殆ど同じ構成上位銘柄
2023年12月末時点での構成上位銘柄は以下の通りとなっています。
2021年に賞味期限が切れたかつてのハイパーグロース銘柄がずらりと並んでいますね。
これを見た瞬間、殆どARKKと同じ構成だなとわかりました。既視感がすごいです。
構成上位銘柄の推移は以下となっています。構成上位は殆ど変わっておらず、株価の上下で微妙に順位が入れ替わっているといった感じですね。
2024年5月末 | 2023年12月 | 2023年9月末 | 2023年7月末 | 2023年4月末 | 2022年12月末 | 2022年9月末 | 2022年6月末 | |
1 | テスラ | コインベース | テスラ | テスラ | テスラ | ブロック | テスラ | テスラ |
2 | コインベース | ブロック | コインベース | コインベース | ブロック | テスラ | ブロック | ブロック |
3 | ブロック | テスラ | ブロック | ブロック | コインベース・グローバル | ズーム | ズーム | ズーム |
4 | ロビンフッド | ユーアイパス | ズーム | ロク | ロク | イグザクトサイエンシズ | ROKU | CRISPR |
5 | ロク | ロク | ロク | ズーム | ズーム | トリンブル | CRISPR | ROKU |
6 | トリンブル | ズーム | ユーアイパス | パシフィックバイオサイエンシズ | パシフィックバイオサイエンシズ | ユーアイパス | トリンブル | トリンブル |
7 | CRISPRセラピューティクス | トゥイリオ | トゥイリオ | ユーアイパス | CRISPRセラピューティクス | ロク | COINBASE | イグザクトサイエンシズ |
8 | ショッピファイ | CRISPRセラピューティクス | トリンブル | トゥイリオ | ユーアイパス | パシフィックバイオサイエンシズ | イグザクトサイエンシズ | UiPath |
9 | ズーム | Trimble Navigation | CRISPRセラピューティクス | CRISPRセラピューティクス | ショッピファイ | CRISPRセラピューティクス | UiPath | COINBASE |
10 | ツイスト・バイオサイエンス | ロビンフッド | パシフィックバイオサイエンシズ | トリンブル | トリンブル | TWILIO | TWILIO | TWILIO |
ちなみに以下の通り殆どARKKの構成上位銘柄と同じです。以下は2024年7月日時点の最新なので若干異なるとは思いますが、殆ど同じ銘柄に投資しています。
構成銘柄 | 比率 |
テスラ | 8.21% |
ロク | 8.15% |
コインベース | 8.11% |
ロブロックス | 7.22% |
ブロック | 6.77% |
ロビンフッド | 5.77% |
CRISPRセラピューティクス | 4.81% |
ユーアイパス | 4.68% |
パランティア | 4.08% |
ショッピファイ | 3.99% |
ARKKは日本の証券会社からは購入できないので、個人投資家がARKKを買えるように投資信託として仕立てて販売したということですね。
ここから想定されるようにリターンは厳しいものとなっています。追ってお伝えします。
購入手数料と信託手数料
購入手数料と信託手数料は以下となります。
購入手数料:3.3%
信託手数料:1.6675%
初年度は実に5%もの手数料が取られるわけですので、マイナス運用を出している場合じゃないですね。
グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンドの運用実績(成長株の株価暴落が足を引っ張る)
では肝心な運用実績についてみていきましょう。
先ほどのARKKのチャートの悪い部分だけを見事に体現しています。
ただ、為替ヘッジをしていない分、ドル円の上昇に助けられて、まだ少しは下落を抑制されているという状況です。
基準価格は4,631円と価値が半減しています。以下はS&P500(円建、配当込み)とナスダック総合指数(円建)と比較したものです。
赤:S&P500指数(円建て、配当込み)
青:グローバルエクスポネンシャルイノベーションファンド
大幅に指数に負けていますね。ARKKと同じです。要は沈む船にオールを渡してしまったということです。
掲示板やSNS上での口コミや評判
では評判や口コミについてみていきたいと思います。
みずほのグローバルエクスポネンシャルイノベーションファンド。 売り出し時10000円だったのが現在ではその半額近くまで落ちてる。 買い時といえばそうだけど、販売当初に買った人たちからすればひとたまりもない。 資産運用を勧める銀行が自ら「投資信託=危険」という状況を作り出してるのは痛い
Yahoo finance掲示板
まあそうですね、相対的に組み入れ銘柄が上向くと瞬間的に安心しますね。
でももはや5000円のバーに自分が慣れてしまってきたのと、上げ幅以上に下げ幅が大きいこの投信の動きに楽しみがまるで無くなりました。そして4000円台への落ち込みリスクがいつまでも払拭できないこの感覚。嫌になります。
勧めてきた証券会社に対して不満を述べる書き込みも多く見られました。
Yahoo finance掲示板
このグローバル・エクスポの価額で精神を侵されているみたいだぁ😱😱😱
再起不能になりそう❗️いや、もうなっているかも😱😱😱
Yahoo finance掲示板
何処もかしこも上がってるのに。
何故ここは。
ガッカリ過ぎる。
選んだ自分が悪いのだが
M社には物申したい。
Yahoo finance掲示板
オレにも根拠のない希望的観測と青写真の説明電話がありました。
Yahoo finance掲示板
まだまだ、半額に到達しません。😢😢
Yahoo finance掲示板
逆にどうやったら上がらずに済むのかわからん
5ch掲示板
キャシー詐欺またやんのかよ
どうせテスラ・ロク・ズームだろ
プロスペクティブの仕切り直しじゃん
今後の見通しは暗い?
今保有している方や今後購入を考えている方にとって重要なのは今後の見通しかと思います。
現在、破壊的イノベーション銘柄が売り込まれている理由は以下の2点です。
✔︎ 2020年から2021年前半の成長率から大きく低下している。中にはマイナス成長の銘柄も。
✔︎ 高インフレに対応するためにFRBが金融政策を引き締めている。
✔︎ 2024年においてインフレ再燃の懸念が高まっており高金利が今後も継続することが想定される
この3点が解消されるまでは浮上することはありません。
現在2024年7月時点ではS&P500指数などが最高値を更新している中にあっていまだにARKKやグローバルエクスポネンシャルファンドは沈みこんでいます。
再起できるかはFRBの手綱捌き次第ですが、現段階では高金利なので近づかないのがセオリーとなります。
さらにインフレの第2波の足音が近づいてきています。
現在インフレは沈静化してきているように見えますが、ただエネルギー価格や食品価格が下落しているだけです。
これらを除いたコアインフレは依然として5%の水準にあります。そして、足元でエネルギーや食品価格は反発してきています。
結局、1970年代と同じくインフレは何波にもわたって押し寄せるのです。
もっとわかりやすく可視化したものが以下となります。ほぼほぼ現在のインフレ率は1970年代と同じ動きをたどっています。
インフレが押し寄せる度に金利も上昇していきます。そして、金利上昇に最もペインなのがグロース株の株価です。
一度、沈むとなかなか復活しないものなのです。
わかりやすいのが以下の現在のARKKとITバブル崩壊時のナスダックのチャートです。
当時のナスダックは現在のARKKのように若い成長企業ばかりで占められていました。GAFAがまだ小型グロースだった時代です。
以下の通り一旦自立反発しても、その後売り込まれていきました。
人間の本質は変わりません。今後も残念ながら暫く期待することはできません。
テーマ株やグロース株は調子が良い時はいいのですが、一度ブームが終わるとバブルは崩壊します。
長期的に資産を形成するためには、どの時代でもリターンを見込むことができるファンドに投資をすることをおすすめします。
以下の記事で詳しくお伝えしていますので、ご覧いただければと思います。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
ポイント
✔︎ アークが監修しておりARKKと同じ値動き
✔︎ 運用開始から下落しており調子が良い時はない
✔︎ 今後も暫くマクロ環境要因で厳しい展開の継続が見込まれる