日本で最も有名な独立系の投資信託運営会社としての地位を確固たるものとしているレオスキャピタル。
以前、取り上げた「ひふみ投信」「ひふみプラス」も同社が運営する投資信託です。
「ひふみ投信」や「ひふみプラス」は以前は調子がよかったのですが、現在は日経平均にも劣後する成績となっているとお伝えしました。
→ 【不調のひふみ投信】やめたほうがいい?まだ上がる?直近の運用成績がひどいと評判の「ひふみプラス」の時代は終わった?今後の見通しと共に徹底評価!
本日お伝えするのは新たに運用を開始している「ひふみワールドプラス」です。
ひふみワールドプラスは以下の通り2021年後半から足踏みをしながら下落しており、異常な円安により一度回復するも結局は横ばいで投資妙味がありません。
本日は「ひふみワールドプラス」について以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。
✔︎ どのようなファンドなのか?
✔︎ なぜ成績が低迷しているのか?
✔︎ 今後の見通しはどうなるのか?
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Contents
「ひふみワールドプラス」はどのような特徴のファンドなのか?
では、まずどのようなファンドなのか見ていきましょう。
投資対象は日本を除く世界の株式
投資対象は日本を除く世界の株式となっています。
銘柄選定方法については以下の通りふわっとしています。確固たる銘柄選定基準が明記されているわけではありません。
日本を除く世界各国の株式等の長期的な経済循環や経済構造の変化、経済の発展段階等を総合的に 勘案して、適切な世界各国の株式等を選びます。
長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量※の両方面から徹底的な調査・分析を行ない、業種や 企業規模にとらわれることなく、長期的な将来価値に対してその時点での市場価値が割安と考えられる 銘柄に長期的に選別投資します。
参照:交付目論見書
運用者は湯本光裕氏
レオスキャピタルといえば藤野英人氏ですが、ひふみワールドプラスの運用者は湯本光裕氏です。
ロスチャイルド・アセット・マネジメント、ガートモア・アセットマネジメントを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。取締役就任。新興企業・成長企業への調査・投資経験、ロング・ショート戦略に代表されるヘッジファンド運用経験が長い。国内外の資産運用業界についての理解も深い。
参照:レオスキャピタル
現金比率は最大50%まで引き上げ余地あり
ひふみワールドプラスは現金比率を最大50%まで高めることが出来るとしています。
市場が暴落する可能性があるとみれば、現金比率を高くして下落を抑制する余地を残しています。
実際に2021年後半から現金比率を高めていたのであればよいのですが、後で紐解いていていきたいと思います。
構成上位銘柄と現金比率
以下は2024年5月末時点での「ひふみワールド」の構成上位銘柄は以下となります。
2024年5月までの構成上位銘柄の推移は以下となります。
2024年5月末 | 2024年1月末 | 2023年9月 | 2023年7月 | 2023年5末 | 2022年11末 | 2022年9末 | 2022年6末 | |
1 | MICROSOFT CORPORATION | MICROSOFT CORPORATION | FERRARI NV | FERRARI NV | MOTOROLA SOLUTIONS, INC | TETRA TECH | DEERE & Co | MTU AERO |
2 | ARM HOLDINGS |
FERRARI NV | MICROSOFT CORPORATION | PALO ALTO NETWORKS, INC. | FERRARI NV | DEERE & Co | TEXAS INSTRUMENTS INC | DEERE & Co |
3 | AMAZON | PALO ALTO NETWORKS, INC | INTUIT INC | ORACLE CORPORATION | DR. ING. H.C. F. PORSCHE AG | TJX Companies | TETRA TECH | ACCENTURE |
4 | FERRARI | AMAZON.COM, INC | AMAZON.COM, INC | INTUIT INC | TETRA TECH, INC | FERRARI NV | CADENCE DESIGN SYSTEMS, INC | HERSEY COMPANY |
5 | NOVO | DR. ING. H.C. F. PORSCHE AG | PALO ALTO NETWORKS, INC | DR. ING. H.C. F. PORSCHE AG | PALO ALTO NETWORKS, INC. | LVMH | WORKDAY, INC | TYSON FOODS |
6 | NORDISK | NETFLIX, INC | DR. ING. H.C. F. PORSCHE AG | ACCENTURE PLC | INTUIT INC | THE HERSHEY CO | THE HERSHEY CO | TETRA TECH |
7 | MTU AERO | CBOE GLOBAL MARKETS INC | DELL TECHNOLOGIES INC | TETRA TECH, INC | ORACLE CORPORATION | MTU AERO | MTU AERO | ALPHABET |
8 | EMERSON ELECTRIC | NOVO NORDISK AS | NETFLIX, INC | MOTOROLA SOLUTIONS, INC | COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT SA | WORKDAY | BJ'S WHOLESALE CLUB HOLDINGS, INC | BJ'S WHOLESALE CLUB HOLDINGS, INC |
9 | MOTOROLA SOLUTIONS | EMERSON ELECTRIC CO | EMERSON ELECTRIC CO | AMAZON | ACCENTURE PLC | DR.ING | TYSON FOODS | ORACLE |
10 | NVIDIA CORPORATION | THE HERSHEY CO | TETRA TECH, INC | INFINEON TECHNOLOGIES | MICROSOFT CORPORATION | CADENCE | TJX Companies | TJX Companies |
一部上位銘柄を入れ替えながらも、ある程度長期投資をしていることがわかります。
中には投資したものの株価が暴落して上位銘柄から凋落したものもあります。
ハイテクだけではなくラグジュアリーブランドや高級スポーツカーを組み入れていますね。
今後、不況になる時に備えて不況時でも需要のあるブランドも組み入れているという姿勢が読み取れます。
為替ヘッジは行なっていない
ひふみワールドプラスは為替ヘッジは行なっていません。
つまり、円安となれば円建のリターンが増加して、円高となれば円建のリターンが減少します。
2022年以降ドル円は115円から161円まで円安が進行して「ひふみワールドプラス」には大きな追い風となっています。
ただ、景気後退を見込んで米金利が下落する過程でドル円は110-130円まで下落する可能性は十分にあります。
ここから日銀の政策変更を受けてさらに円高になるとリターンを毀損することになります。
その点については今後の見通しの項目でお伝えしていきたいと思います。
手数料
x購入手数料は販売会社によりますが3.3%を上限として設定しています。
また、信託手数料については以下となっています。現在純資産は400億円なので年率1.628%ということですね。
海外株への投資ということもあり手数料はアクティブ投信の中では高めに設定されています。
<速報>ひふみワールドの運用実績(評価額)をインデックスと比較しながら分析
それでは「ひふみワールド」の運用実績についてみていきましょう。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 8.11% | 15.64% | -3.71% | 5.36% | 26.77% |
2022年 | -5.20% | -8.43% | -1.20% | 0.65% | -13.67% |
2021年 | 11.42% | 9.82% | -1.71% | 6.56% | 28.16% |
2020年 | -18.78% | 22.93% | 8.11% | 12.65% | 21.59% |
一見すると堅調に推移しているようにみえますが、これは2020-2021年に世界的に株高となったことが影響しています。
ひふみワールドプラスが特別優れているというわけではありません。
青:ひふみワールドプラス
赤:全世界(円建て)
緑:S&P500(円建て)
全世界株式に少々劣後し、S&P500指数の円建に大きく負けています。散々ですね。
動きも殆どインデックスと変わらないですよね。無駄に手数料だけ払ってさらにパフォーマンスが上げられていない状態といっても過言ではないでしょう。
今後の見通しは厳しい展開
重要なのは今後の見通しです。「ひふみワールドプラス」は200銘柄に分散投資している全世界株式と同じリターンのファンドであるとお伝えしました。
ということは、全世界の株式の見通しが、そのまま「ひふみワールドプラス」の見通しとなります。
金融引き締めで全世界的に通常の株式投資は厳しい展開が続く
ご存知の通り、現在世界では欧米を中心に高いインフレが発生しています。中央銀行はインフレ率2%を目指して金融政策を実行しています。
なぜなら、インフレが発生すると国民の生活が苦しくなるからです。
中央銀行はインフレを抑えるために景気を冷やすことを目的として金利を引き上げます。金利を引き上げれば住宅を買う意欲は削がれますし、事業を拡大するために借り入れを行うインセンティブが下落しますからね。結果としてインフレも沈静化していくわけです。
しかし、金利が上がるということは株式の価値が低くなることを意味します。米国民からすると無リスクで3%の金利がもらえるのに、リスクをとって株に投資をする意味が薄れるからですね。
結果として株価は下落していきます。現在も下落はしていますが、再び再燃する動きをみせており金利は高止まりするどころか昨年の水準を超える動きを見せています。
以下は米国10年債金利の推移です。1970年代から1980年代の高インフレ時代から比べると現在の金利はまだまだ低い状態なのです。
今後も長い下落相場が続くことが想定されます。そして、インフレ率が下落するには景気後退が必要になってきます。
景気後退局面では当然企業利益も減少するので株価は下落していきます。今後暫く一般的な銘柄選定を行なっている投資信託は厳しい展開が想定されます。
どのような市場環境でもリターンを狙えるヘッジファンドという選択肢をふくめて魅力的な投資先は以下でお伝えしています。
ドル円は下落が想定される
世界的な株価低迷の中でも比較的「ひふみワールドプラス」が耐えているかのように見えるのは円安が影響しています。
為替ヘッジを行なっていないので円安によって「ひふみワールドプラス」の円建のリターンは下落をある程度回避していたのです。
そして今現在2024年3月時点でドル円は上記の予想通り150円まで、円安が進んでいます。しかし、今後は反転して円高になる可能性があります。
なぜなら雇用統計が少し落ち着きを見せたこと、また米国の不況の足音が聞こえること、そして新日銀総裁の植田氏の采配で現在の日本のインフレ率の上昇を見るに引き締めの可能性があるからです。
YCCは長期金利1%までは許容となり、段々とリミットが外れてきています。
つまりは日米金利差が今後は接近していくことになりますので、自ずと円高方向に向かうことになるのです。
Yahoo finance掲示板での口コミや評判
低いパフォーマンスのせいで悪い評判ばかりでした。以下は一例です。
口コミ①
ここの高額の信託報酬…
かたや、あまりのパフォーマンスの悪さ…
信託報酬に関しては、いわゆる餌代と呼ばれるものですね。
立場を替えれば、肥やしとも呼ばれます。
口コミ②
友人におすすめされて昔に少額購入した事ありましたね。
ファンドマネージャーの動画を見たりとか、Zoomのオンラインセミナーに参加したことがありました。
そこで感じたのは、ファンドマネージャーのレベルの低さ。
本気で相場を分かってないし読めてない。まったく勉強してない。
なんかそのへんの、投資始めたてのサラリーマンが、適当に銘柄選んで買ってますって感じ。
こりゃやべーなと思って即解約してインデックスに切り替えましたが、やはり正解でした。
まとめ
今回のポイントを纏めると以下となります。