日本のインフレ率は2022年以降上昇基調にあり2025年3月現在では4%近い水準となっています。
そして、今後もこのインフレ率は継続していくことが見込まれます。その理由についてお伝えしていきます。
エネルギーと食料を輸入に依存している
まず国民生活が成り立つためにはエネルギーと食料は欠かせません。そして残念なことにそのどちらも日本は自給率が非常に低い状態なのです。
まずはエネルギーですがエネルギー自給率は13%とグローバルでみて最低水準になっています。
そして、食料も自給率がカロリーベースで37%、生産額ベースで67%という非常に低い水準になります。
そのため、輸入物価が国内物価に与える影響が非常に大きくなっているのです。
米国でインフレ再燃の可能性が高まっている
2022年からはじまるインフレは海外のインフレから始まりました。つまり、海外のインフレが上昇すると輸入物価を通じて日本のインフレ率にも跳ね返ってきます。
海外に物価でもっとも影響を与えるのが超大国である米国のインフレ率です。
米国のインフレ率はエネルギー価格が一時的に落ち着いてきたことを受けて低下してきましたが、直近再び上昇する兆しが見えてきています。
トランプ大統領の政策は、関税、移民排斥、法人減税といずれもインフレを再燃させうる政策となっており懸念が高まっています。
米国で再びインフレが発生するとエネルギーや食料の輸入を通じて日本のインフレも上昇していきます。
近年ではネットフリックスやAWSやAzureなどの大手ハイテク企業のサービスの利用額が増大しているので、これらの値上げも日本のインフレにダイレクトに効いてきます。
円安が進行する可能性が高い
そして、追い討ちをかけるのが円安です。コロナ前の100円から110円という水準から現在は140円から150円という水準になっています。
当然、円安がすすむと輸入物価が上昇するので国内物価が上昇する方向に働きます。
そして、今後もドル円は上昇する方向に進んでいきます。理由は貿易収支の赤字傾向が継続しているからです。
製品の国際競争力が低下し輸出が弱くなるなかで、食料やエネルギーの輸入が増大して貿易赤字が常態化しています。更にその他に米国の大手テック企業のクラウドサービスなどの利用の増大でサービス収支の赤字も拡大していっています。
結果として支払いのために円を外貨に転換する需要が常に発生するので円安方向に進んでいくことになります。
さらに2024年に開始された新NISAも円安要因となります。
新NISA開始に伴う個人の国外資産へのネット買付額は年間0.7~3.9兆円規模に達しうると資産されています。(jri.co.jp)。
これは裏を返せば、それだけの円資金が海外に流出(円売り・外貨買い)することになり、為替相場で円安圧力となる可能性があります。
極端なシナリオでは数年間で対ドル円相場を最大6円程度押し下げる(円安に振れる)要因になり得るとも指摘されています。
今後も円安を通じて継続的なインフレが発生していくことが見込まれます。1970年代から2011年まで続いた円高傾向は逆回転を始めているのです。ドル円が200円という時代も到来することでしょう。
まとめ
2022年に世界的に発生したインフレの影響で日本にもインフレの波が押し寄せています。
今後も米国をはじめとした海外のインフレや円安の進展によって日本のインフレは2%をオーバーシュートした水準で推移することが見込まれます。