【決算速報】伊藤忠商事(9001)の今後の株価と配当の見通しは?11月6日決算短信からみる買い時、売り時は?

決算分析

【決算速報】伊藤忠商事(9001)の今後の株価と配当の見通しは?11月6日決算短信・業績からみる買い時、売り時は?

伊藤忠商事と言えば、5大総合商社の中で最も中国投資など積極投資で知られ、また近年は福利厚生の充実を公表することで注目されていますよね。

改定後、伊藤忠が25年3月期の業績見通しとして掲げる連結純利益8800億円を達成した場合、社員の平均年収は前年比で10%上昇する。そして個人の成績評価次第ではあるものの、部長級では最高4110万円、課長級では最高3620万円、担当者では最高2500万円という「日本経済界でも突出した高給」となるという。

伊藤忠「課長で年収3620万円」 にじむ財閥への対抗心

解雇規制が厳しい会社のイチ社員が年収3620万円を貰える可能性があるというのは、世界一恵まれていると言っても過言ではない待遇ですよね。

伊藤忠商事は5大商社の中でも実は、時価総額一位となっています。

五大商社の時価総額の比較

 

さて、そんな伊藤忠商事ですが、連結純利益8800億円を達成した場合に給与アップとのことで、今回11月6日に発表された第二四半期決算でどれくらい進捗したのかを見ていきましょう。

先日発表された三菱商事の決算結果と今後の株価予想も以下の記事で記載していますので参考にしてください。

【決算速報】買い時?売り時?三菱商事(8058)の最新決算短信から今後の株価見通しを予想!配当金はどうなる?

 

伊藤忠商事の事業ポートフォリオを確認!三菱商事は資源偏重だが?

総合商社といえば、「何をやっているのかわからない会社」とよく揶揄されますよね。

しかし、儲かっている会社というのはそういうものです。総合商社を代表する商売例といえば貿易ですが、現在ではその貿易業で得たキャッシュとネットワークを生かして、資源を主として様々な業界へ投資を実行していますよね。

まさに資本主義の特徴を最大限に活かしたような会社です。

 

人で稼ぐビジネスモデルからキャッシュで稼ぐビジネスモデルへ移行しました。総合商社ではポートフォリオで石油や資源領域、つまりインフレ化では莫大な利益を生む事業比率が高ければ高いほど、世界経済に業績が左右されることになります。

以下は伊藤忠商事の2024年3月期、つまり昨季のポートフォリオです。

伊藤忠商事のセグメント別 株主帰属当期純利益

伊藤忠商事のセグメント別 株主帰属当期純利益

セグメント 株主帰属利益(億円)
繊維 270
機械 1316
金属 2261
エネルギー・化学品 917
食料 663
住生活 662
情報・金融 678
第8 358
その他及び修正消去 894

 

やはり最大ポーションが金属の28.2%、ついでエネルギー・化学品11.4%となっています。

なぜ化学品とセクターを混ぜてしまうのでしょうか。内訳を見るとエネルギーと電力・環境ソリューションで63%、化学品は37%でした。ただ、いずれにせよ30%以上が資源であるということです。

 

機械が16.4%は高いですが、電力事業も含まれていますね。

また、資源価格に連動する船舶事業もこの機械カンパニーに入っています。少し雑ですが、インフレ(景気敏感なセクターは35-40%程度になってくることがわかります。

つまり、かつては三井物産が資源一本足打法などと揶揄されていましたが、伊藤忠商事も徐々に資源ポートフォリオが大きくなってきています。

 

 

【決算速報】2024年9月期決算の結果を分析

では、実際に今回の決算の中身を見ていきます。

各カンパニーを統合した全社の利益は以下の通りです。

 

前年同期割れです。すでに旬は終わっているように感じさせますね。

利益推移(億円) 前年同期比
Q1 2022 2306 -
Q2 2022 2524 -
Q3 2022 1992 -
Q4 2022 1183 -
Q1 2023 2132 -7.55%
Q2 2023 1997 -20.88%
Q3 2023 1988 -0.20%
Q4 2023 1901 60.69%
Q1 2024 2066 -3.10%
Q2 2024

 

カンパニーごとの利益は以下です。

2024年6月期のセグメント株主帰属利益(億円)

セグメント株主帰属利益(億円) Q1 2023 Q1 2024 前年同期比
繊維 46 53 15.22%
機械 317 340 7.26%
金属 562 525 -6.58%
エネルギー・化学品 375 178 -52.53%
食料 208 190 -8.65%
住生活 175 188 7.43%
情報・金融 144 160 11.11%
第8 106 109 2.83%
その他及び修正消去 201 322 60.20%

金属が抜きん出ていますが、やはり前年割れです。エネルギー・化学品セクターは詳細を読むとエネルギートレーディング取引の採算悪化、また前年の反動で大きくマイナスになっています。

つまり、実際に世界のインフレは落ち着いてきており、総合商社全体の業績に大きく影響していますね。

後述しますが、ここから投資?という感じではありますよね。

この業績を見て、伊藤忠商事が前提とした市況を見るに、為替に関しては6%も円安が進み、原油価格も上振れているにも関わらず前年同期比割れですから、今後は一転して厳しい戦いになるのではないかと考えられます。

 

伊藤忠商事の今後の株価見通し!買い時・売り時はいつ?

今後の伊藤忠商事の株価について考えていきましょう。

株価とは株式市場×業績で上昇していく性質を持っています。

株式市場にお金が沢山流入する環境であり、好業績(利益)をあげれば株主帰属利益が増えていくので、株価が上昇していきます。

 

株式市場にお金が沢山流入する環境=インフレ発生時となります。

こと総合商社に関しては、資源・石油権益などに莫大な投資をしている事業体故に、株式市況が好調であれば業績にレバレッジがかかっていきます。

ただ、デフレ環境下では株価は転落し、株主は大怪我を負ってしまうような、そんな株が総合商社株です。

ですので、高配当なので総合商社株を一生持つ、という考え方は危険です。

 

株式市況

株式市場の環境についてまず見ていきますが、2024年11月時点ですでに失業率は緩やかに上昇し、インフレ率も落ち着いてきております。

そして、とうとうFRBが利下げを開始しましたよね。つまりは、インフレ退治は完了したということです。この時点で総合商社株がまだまだ伸びるということは考えにくいことがわかります。

株式市場に関しては、金利が低ければ低いほど債券利回りが下がることから、株式市場に資金が流入することになりますが、利下げの初動に関しては毎度株式市場はクラッシュしてきました。

最初の利下げから数ヶ月の景気後退入りして株価下落

 

緩やかな失業率の上昇、緩やかなインフレ率の下落で進捗しており「ソフトランディング(主に景気が過熱しているときに、急激な景気後退や混乱を招くことなく、緩やかに減速させて安定成長へと移行させること)」が期待されています。

しかし、ソフトランディングは過去に一度しか成功しておらず、基本的には一度は大きな株価下落が起こるのが常です。

伊藤忠商事や三菱商事なども、リーマンショック時などで80%ほど株価が大暴落した過去が数回あります。

伊藤忠商事のリーマンショック時の株価暴落

 

今後はこのようなことが起こってもおかしくない市況に突入していくのです。

 

伊藤忠商事の業績面

業績面に影響を与えるものは何かについては、伊藤忠商事が公表している前提を見ればすぐにわかります。

為替、金利、原油価格、鉄鉱石価格です。

 

ドル円は11月時点で150円ほどでまだ見通し前提より円安になっており、追い風ではあります。

しかし、今後は日本の日銀が利上げに転じ、米FRBは利下げを実行するフェーズになっており、あっという間に130円台まで揺り戻しが起きてもおかしくない市場環境です。

原油に関しては11月時点で60ドル台になっており、逆風が吹いています。実際にエネルギートレーディングの採算が悪化していると伊藤忠の決算資料に明記されていましたよね。

鉄鉱石価格も下落に転じています。

鉄鉱石 - 先物契約 - 価格

 

どこをどうとっても伊藤忠商事をはじめとした総合商社株には逆風に見えますよね。

株式市況、そして業績見通しを見る限りは、伊藤忠商事の買い時は次の景気拡大サイクルとなり、売り時は今、ということになるかと思います。

 

今後の配当は増配?減配?

過去の伊藤忠の配当推移は以下です。

伊藤忠商事の配当推移

 

配当金(通期・円) 配当性向(%)
2010 18 17.7
2011 44 23.1
2012 40 22.6
2013 46 23.4
2014 46 24.3
2015 50 32.9
2016 55 24.6
2017 70 27.1
2018 83 25.6
2019 82 25.3
2020 88 32.6
2021 110 19.9
2022 140 25.6
2023 160 28.9
2024 200 32.5
右肩上がり、そしてリーマンショック後から伊藤忠商事の株価は20倍近くになっていますので、長期株主は最高の気分でしょうね。

リーマンショック後は常に景気拡大期でした。Covid-19で一瞬景気悪化しましたが、紙幣の異次元のバラマキを世界中が行ったので、景気縮小なんていざ知らずでしたね。

配当計画は以下となっています。

24年度経営計画(株主還元)

総還元性向 50%目途

- 配当 1株当たり 200円下限(前期比+40円)

- 自己株式取得 約1,500億円

伊藤忠商事の株主還元方針

 

配当性向が30%、もしくは1株あたり二百円の高い方とあります。

通期予想が8800億円、その30%は2640億円。発行済み株式数は15.8億なので、1株あたり167円となります。

30%も払い出して167円しかないのに、200円を払い出すのはかなりの背伸びと言えそうですね。

 

また、ここからは市況が低迷する可能性もある今、伊藤忠商事を配当目的で保有し続けるのは危なそうだなと率直に思いますね。

 

まとめ

まとめです。

ポイント

  • 伊藤忠商事は5大総合商社の中で中国への積極投資や福利厚生の充実で注目されている。
  • 伊藤忠商事は5大商社で時価総額トップ。
  • 同社の事業ポートフォリオは多岐にわたり、特に金属とエネルギー・化学品セクターが大きな割合を占める。
  • 金属、機械、エネルギー・化学品が主力だが、前年同期比で減益のセグメントもある。
  • 世界のインフレが落ち着き、業績の伸びは鈍化傾向にある。
  • 市況はFRBの利下げなどでインフレが緩和され、総合商社の株価にも影響を与えている。
  • 株式市況の状況から、総合商社株は一生保有するよりも景気拡大サイクルに合わせた売買が推奨される。
  • 配当は通期で200円が下限とされているが、今後の市況によっては持続性に疑問がある。

終わりに:下落を回避して安定的に高い利回りで資産形成する方法

 

 

「資産を他の人よりも大きく増やすためには?」

一部の人は、上場小型ベンチャー株に全力投資し、株価の急騰を狙ったり、信用取引でレバレッジをかけることを考えるかもしれません。

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むしろ、大きな損失を被るリスクが高いのです。短期的な大儲けを狙うことは、同時に大きな損失を招く可能性があり、それは投資というよりもギャンブルに近いものです。

資産運用において最も重要なのは、「小さなリターンでも確実にプラスを積み重ねる」ことです。時間をかけて複利の力を活かすことが、安定した資産増加の鍵となります。

世界一の投資家と称されるウォーレン・バフェット氏も、以下の2つのルールを最も重要としています。

 

ルール1. 絶対にお金を損しないこと。

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「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねる」という考え方が、資産運用の基本です。「クラシック」かつ「質実剛健」な資産運用を心掛けましょう。

私も長年にわたり資産運用を続けてきましたが、この哲学に基づいた投資を実践するようになってから、資産の増加スピードは驚くべきものとなりました。

このアプローチを採用しているファンドをいくつかまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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