BMキャピタルの安定したリターンは本格的なバリュー株投資戦略とアクティビスト戦略の組み合わせであると以下の記事にてお伝えしています。
→本格的バリュー株投資!BMキャピタルのアクティビスト投資を取り入れた本格的ネットネット株投資戦略を解説!
BMキャピタルの下落耐性は高く、その下落耐性を支えているのが、割安(バリュー)株ですよね。
前回、金下建設を例にとって具体的にお伝えしてきました。
→BMキャピタルの投資戦略を過去の組み入れ銘柄「金下建設」を例として解説!
本日は2つ目の事例としてキクカワエンタープライズについてお伝えしていきたいと思います。
Contents
キクカワエンタープライズの会社概要
キクカワエンタープライズという会社について聞いた方は殆どいらっしゃらないのではないでしょうか。
それもそのはず、BMキャピタルの条件に合致する銘柄は小型株にしか存在しないのです。
小型株は証券アナリストの目に触れずに機関投資家も取引を行わないため適正な価格から大きく離れた金額で取引されていることが多々あるのです。
以下はキクカワエンタープライズの会社概要です。
商号 | キクカワエンタープライズ株式会社 |
資本金 | 6億6000万円 |
時価総額 | 52億円 |
設立年 | 1897年 |
代表取締役社長 | 菊川厚 |
代表取締役副社長 | 菊川博史 |
所在地 | 三重県伊勢市朝熊町3477-36 |
事業内容 | 製材機械、木工機械、工作機械の製造・販売 |
超老舗ですね、20世紀から存在している会社ということに驚きです。そして時価総額は52億円と100億円未満なので超小型株というくくりになりますね。
BMキャピタルが投資した際のキクカワエンタープライズ
ではBMキャピタルが投資した当時のキクカワエンタープライズの状況について見ていきましょう。
株価的には投資した時は以下となります。(現在は10分割しているので当時の株価は230円近辺でした。下の図では2300円ということです。)
圧倒的な現金性資産を保有するバランスシート
BMキャピタルは以下の基準を満たす銘柄を投資対象として選定します。
簡単に説明すると、その企業を買収して清算すると確実に利益が得られる銘柄を狙って投資をするということです。
上図からわかる通り仮に事業性資産の価値がゼロだとしても、負債を差し引い板た現金性の資産だけで時価総額を上回っていることを意味しますからね。
BMキャピタルが投資した2014年3月期の第2四半期のバランスシートは以下となります。
【資産の部】
現金及び預金 | 5,183百万円 |
受取手形及び売掛け金 | 912百万円 |
投資有価証券 | 1,065百万円 |
現金性資産総額 | 7,161百万円 |
【負債・純資産の部】
現金性資産 | 7,161百万円 |
総負債 | 1,982百万円 |
純現金性資産 | 5,179百万円 |
投資実行時点の時価総額
BMキャピタルが投資を実行した時に時価総額について算出していきましょう。時価総額は実質株式数と株価の掛け合わせで算出することができます。
まずは実質的な株式数についてみていきましょう。実質株式数は総発行済株式数から自社株を差し引いて算出されます。
実質株式数
=
発行済株式数13,200,000株
-
自社株657,237株
=
12,542,763株
当時の株価は230円だったので掛け合わせて時価総額は2,884百万円となります。つまり今までの情報をまとめると以下となります。
純現金性資産が時価総額の1.8倍も存在しています。大きな安全域を持っている企業ということができますね。
利益確定時のキクカワエンタープライズ
BMキャピタルは2018年10月に5400円で同社を利益確定しています。
その際のバランスシートの状態は以下の通りです。
現金性資産 | 9,580百万円 |
総負債 | 3,010百万円 |
純現金性資産 | 6,570百万円 |
純現金性資産は増加していますね。次に時価総額を見ていきましょう。
実質株式数
=
発行済株式数1,320,000株
-
自社株44,104株
=
1,275,896株
時価総額は1,275,896円×5400円=6,885百万円ということになります。
整理すると以下の通りですね。
最初の前提が崩れましたね。時価総額が純現金性資産を上回ってしまっています。このタイミングをファンドマネージャーは見逃さなかったわけですね。
確かにその後、1万円を超える局面もありました。
しかし、あくまで設定した基準に従って利益を確定するという姿勢が理論に忠実で非常に信頼感がありますね。
BMキャピタルは雰囲気で投資をして雰囲気で利益確定を行うということはしません。
しっかりと投資をして安全にリターンを獲得することができる銘柄に狙いを定めて、その銘柄が投資を継続する基準から逸脱した時に利益を確定するという信念を持ってトレードを行なっています。
また、筆者として魅力的に感じている点が、BMキャピタルはしっかり銘柄を精査しているので銘柄に分散を効かせすぎていない点です。
投資信託は少なくとも50銘柄、多いと300銘柄に分散を行い運用を行なっています。これでは日経平均などの指数と同じ結果しかでませんよね。
分析し尽くされた銘柄に投資を行いアクティブリターンをだしてこそ本物のプロといえます。
BMキャピタルは10銘柄ほどに投資する銘柄を厳選してリターン獲得を行なっています。
まさにプロによる本気のファンドであるということができるでしょう。
まとめ
BMキャピタルは純現金性資産のみで時価総額を上回っている銘柄に投資をします。
今回のキクカワエンタープライズは自然に株価が上昇していますが、前回のように株価が上昇しない銘柄については積極的に働きかけて自社株買いを実行させたりしています。
また、利益確定のポイントも理論的に最初の投資した前提が崩れたポイントで行なっており、感情的にならずに冷静にトレードできていることが伺えます。