オリックスといえば野球、イチローというイメージが強いかと思いますが、優良企業としての地位を確立している企業でもあります。
特に株主優待が分厚かったことで投資家からの支持を集めましたが、残念ながら2024年3月期で廃止となってしまいました。
ただ、事業基盤は盤石であり企業としては優良企業であることには変わりません。
実際、株主優待が終わった後も株価は堅調に推移しています。
本日はオリックスの最新決算を分析しながら、今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
Contents
そもそもオリックスはどんな会社?どのような事業で利益を得ているのか?
まず、決算内容を分析する前にオリックスがどのような企業なのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
オリックスは以下のように多角的に経営を行っています。海外にも事業展開していることが伺えます。
オリックスカードなどのイメージが強いと思いますが、他にもリースや不動産、保険で幅広く事業を展開しています。
リースでいうとオリックスレンタカーなどが有名ですね。その他にもメガソーラーや航空機事業まで、まるで総合商社ですね。
以前分析した三菱商事などの総合商社と、メガバンク等の銀行を融合した事業体であるということができます。
2024年3月期の通期のポートフォリオは以下の通りとなっています。
かなりバランスよく分散できており盤石の体制ですね。
やはり、不動産を含めて金融は利益がでやすいので、そこに注力してリターンをだしているのが魅力的なポイントですね。
何が利益がでるかを見極めて多角化しているのが見て取れます。
オリックスの最新決算速報
オリックスの2024年6月期の純利益の推移は以下の通りとなります。
投資企業では季節性があるので、成長しているかどうかは前年同期比の純利益と比べる必要があります。
2024年3月期の6月期決算の純利益が630億円だったのに対して、867億円の純利益を出しているので堅調ですね。
ただ、前期に一過性の損失が発生していたり、今期に一過性の利益が発生してぶれている可能性があります。
以下は各セグメントのセグメント利益です。税前の営業利益なので上記の純利益より大きくなりますが、何が増減要因なのかを把握することができます。
前年同期比で大きな増益となっているのが3番の事業投資・コンセッション分野ですね。
事業投資先の売却による一過性利益が増益に寄与してそうですね。とはいえ既存投資先の成長や空港コンセッションの収益が改善しているのはポジティブなポイントですね。
そして、オリックスは丁寧に売却益と売却益以外にも分解して利益を出してくれています。
以下の通り四半期でみても前年度の6月決算に比べてベース利益(売却利益以外)が膨らんでいるのがわかりますね。
オリックスの今後の業績はどうなる?
オリックスは総論すると金融セクターに所属する企業といえます。
クレジットカードもリースも経済が堅調であれば、業績はのびますが、景気後退とばれば業績は萎みます。
景気に敏感な企業ということができるでしょう。実際、経済ショックが起きる時に株価は大きく下落しています。
では、今後景気は堅調なのか、見通しは暗いのかという点が重要になってきます。
残念ながら2024年11月時点では今後は景気後退が訪れる可能性が高くなっています。
世界経済はグローバルに連動しています。日本の景気を決定づけるのは米国と中国の景気動向です。
西側諸国に名を連ねる日本の場合は、米国の景気動向がより重要になってきます。(そもそも中国は既に不況入りしていますが・・・)
米国は2020年のパンデミックで大量にばら撒いた結果、1970年代依頼の高インフレが発生して金利を引き上げました。
そして、高インフレ、高金利に耐えかねて遂に2024年になって失業率が上昇してきました。
労働市場の軟化を受けて米国の中央銀行のFRBは利下げを2024年9月に実行しました。
そして歴史的に利下げを実施して数ヶ月後に景気後退入りをしています。つまり景気後退が目前に迫っている状況なのです。
米国と中国が景気後退に陥ると世界的な景気後退となります。
このような状況で景気敏感なオリックスの業績の見通しは暗いと言わざるを得ないでしょう。
オリックスの株価の今後は?今は買い時?売り時?
では今後の株価はどうなっていくでしょうか?
もう予想できているかと思いますが、景気後退となれば株価は大きく下落します。以下はリーマンショックの時からのオリックスの株価推移です。
経済状況に連動して株価が動いているのがわかりますね。
そして、先ほどお伝えした通り、これから迫っているのは景気後退です。
景気後退局面では今まで日本株を支えていた円安も解消する方向に向かいます。そうなってくると下げる速度が加速する可能性があります。
今は買い時か売り時かというと、売り時であると考えています。
大きな値動きをこうむることなく安定した高いリターンを得たい方はヘッジファンドという選択肢も考えられます。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。
オリックスの配当金は今後どうなる?累進配当は可能?
オリックスに投資している方は配当も期待したいという方が多いのではないでしょうか?
以下はオリックスの配当金の推移ですが、配当金は順調に右肩上がりに増加しています。少なくとも2014年以降は配当金を下げることなる累進配当を実施してきています。
配当性向は35%から40%の間で近年は推移しています。
配当金オリックス | |
2013/03 | 13 |
2014/03 | 23 |
2015/03 | 36 |
2016/03 | 45.75 |
2017/03 | 52.25 |
2018/03 | 66 |
2019/03 | 76 |
2020/03 | 76 |
2021/03 | 78 |
2022/03 | 85.6 |
2023/03 | 85.6 |
2024/03 | 98.6 |
2025/03(予) | 98.6 |
ただ、ここから純利益が下落すると、当然現在の水準では配当金をだすことができなくなります。
とはいえ、2021年3月期のように純利益が低くなっても配当金は同額で維持しているので、頑張って据え置く可能性も十分あります。
現在の株価3200円で考えると配当利回りは3%程度となります。景気後退で下落したとしても配当利回りが5%程度になれば買いが入ると考えると株価は2000円が下値目処となってきます。
まとめ
オリックスの決算速報を見てきました。今回のポイントをまとめると以下となります。
ポイント
- 幅広く事業を展開しており総合商社と銀行のような事業を展開している
- 事業ポートフォリオは分散されている
- 景気に敏感な事業と株価となっている
- 今回の決算はよかったが2024年末からの景気後退で先行きは暗い