日本を代表する企業といえば、多くの方はトヨタ自動車のことを思い浮かべるでしょう。
実際、トヨタ自動車の時価総額は50兆円近くにのぼり日本最大となっています。
トヨタ自動車はトヨタグループの中核企業です。トヨタグループで有名なものにはデンソーやアイシンや豊田通商などがありますね。
これらのトヨタグループにまとめて投資するファンドとしてトヨタグループ株式ファンドがあります。
本日はトヨタグループ株式ファンドがどのような投資信託なのかという点についてお伝えした上で、今後の見通しについてお伝えしていきたいと思います。
Contents
トヨタグループ株式ファンドの特徴
では、トヨタグループ株式ファンドがどのようなファンドなのかをお伝えしてきます。
組入銘柄や投資比率の決定方法
トヨタグループ株式ファンドは、名前の通りトヨタグループを投資対象にします。
採用する銘柄はトヨタグループ会社のうち流動性を勘案してTOPIX採用銘柄を原則として組み入れとしています。
そして、組み入れ比率は基本的には時価総額加重平均です。時価総額加重平均というのは時価総額に応じて組み入れ比率を決定するということです。
図解すると以下の通りです。
ただ、当然ながらトヨタ自動車の時価総額が圧倒的なので、トヨタ自動車だけで時価総額合計の50%を超えるケースも想定されます。
その場合はトヨタ自動車の組み入れ比率を50%にして、残りの50%を時価総額加重平均にするとしています。
組み入れ銘柄や投資比率の調整は原則として四半期毎に実施しています。
組み入れ上位銘柄
では、実際に上位銘柄はどのような構成になっているか見ていきましょう。
以下は2024年6月末時点での構成上位銘柄です。やはり、トヨタ自動車の時価総額が圧倒的なので組み入れ比率は50%という制限がかけられていますね。
銘柄名 | 業種 | 比率 |
トヨタ自動車 | 輸送用機器 | 50% |
デンソー | 輸送用機器 | 17.5% |
豊田自動織機 | 輸送用機器 | 9.8% |
豊田通商 | 卸売業 | 7.4% |
SUBARU | 輸送用機器 | 5.7% |
アイシン | 輸送用機器 | 3.4% |
小糸製作所 | 電気機器 | 1.5% |
トヨタ紡織 | 輸送用機器 | 0.9% |
ジェイテクト | 機械 | 0.9% |
豊田合成 | 輸送用機器 | 0.8% |
トヨタ自動車を除いた構成トップのデンソーは愛知県刈谷市を本拠とする自動車部品メーカーで自動車部品メーカーでは最大手となっています。
デンソーはトヨタ自動車だけでなく世界中の自動車メーカーに製品を提供しています。
事業内容は、自動運転技術、電動化システム、車載半導体、空調システム、エンジン制御システム、情報・安全システム、産業機器など多岐にわたります。
特に、自動車の環境性能向上や安全性向上に重点を置いており、次世代のモビリティソリューションの開発に取り組んでいます。
豊田自動織機は元々のトヨタグループの中核企業ですね。豊田自動織機は初代の豊田佐吉が発明した自動織機を原点にトヨタグループは拡大していきました。
トヨタ自動車は豊田自動織機から分社化したものであり、豊田自動織機こそがトヨタの源流となり企業です。
豊田通商は総合商社です。三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅といった五大商社につぐ地位を双日とともに担っています。
手数料
購入手数料と信託手数料は以下となります。
購入手数料 | 3.30% |
信託手数料 | 年率0.759% |
トヨタグループ株式ファンドの運用実績!儲かるのか?
トヨタグループ株式ファンドの運用実績を見ていきましょう。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 29.44% | 16.23% | 18.26% | 10.36% |
標準偏差 | 26.36 | 21.61 | 22.31 | 22.17 |
シャープレシオ | 1.12 | 0.75 | 0.82 | 0.47 |
アベノミクスの影響もあり過去10年で年率10%という高いリターンを叩き出しています。
日経平均と比較すると以下の通りとなります。
青:トヨタグループ株式ファンド
赤:日経平均株価
殆ど同じ動きとなっていますね。日本の産業を支えるトヨタ自動車と、その関連企業はもはや日本そのものという動きになっています。
正直いってトヨタグループ株式ファンドに投資をするインセンティブはないですね。
自動車特有のリスクを負っていることを考えると日経平均連動のインデックスに投資をしていたほうが合理的です。
ただ、トヨタグループ株式ファンドも日経平均も幾度も大きな下落を経験しており精神的余裕をもって投資を継続するのに適していません。
暴落を回避しながら安定して高いリターンを見込める投資先としてヘッジファンドという選択肢があげられます。実際、筆者もヘッジファンドに投資を行い30代で2億円の資産を構築しました。
以下では筆者が投資している暴落を回避しながら年率10%のリターンが狙えるファンドについて紹介していますのでご覧いただければと思います。
掲示板での口コミや評判
Yahoo掲示板では2024年7月の下落により悲観している人が多く見られます。
指数と同じような動きをするので、年に数回はこのような状況が訪れることは頭に入れておきましょう。
長期で持っているものはまだまだプラス
ここに関しては完全に入り口を間違えてしまった
分配金でマイナスがどうなるか、
くらいです。
とうとう買った時の株価を下回った
ここの株だけでなく、多くの投資が
同様な状況〰︎
無収入故、買い足しもままならない
じっと堪えるだけです
次の四半期決算か、
やはり他の投信のように
大統領選挙明けくらいかなと
素人ながらに見ています。
リスクの高い金融資産なので、こういうのは
しょうがない時期もあると思っています。
確定拠出年金で19年運用してますが
リーマンの時はもっとエグかったので
私としては3年位マイナスでも
気にならないです。
トヨタグループ株式ファンドの今後の見通し
では重要な今後の見通しについて考えていきましょう。
基本的にはトヨタ自動車の動向を考えていくことになります。トヨタ自動車に部品を提供している会社も、トヨタ自動車の動向に大きな影響を受けますからね。
円安の流れが変わろうとしている
トヨタ自動車は輸出企業なので円安が進行すれば海外での販売価格が安くなり販売台数が増えて売上が増加します。
そのため、円安に進めば株価は上昇していきやすく、円高に進めば株価は下落していきやすくなります。
ドル円は以下の通り日米金利差に連動する形で160円まで上昇してきました。
しかし、米国で利下げ期待、日本で利上げ観測が進み日米金利差が縮小しドル円は下落に転じています。
そして、この流れはしばらく続くことが想定されます。
そのため、為替という側面からみるとトヨタグループ株式ファンドにとっては下押し圧力となります。
不況が近づいている
欧米では2021年末から続いた高インフレと、それに伴う高金利で経済が疲弊してきています。
金利市場が織り込む2024年末時点での不況到来確率はリーマンショック前よりも高い状態となっています。
不況になっても必ずしもリーマンショックのような金融危機に陥るわけではありません。
不況になると、当然ですが新車販売も弱くなります。これは世界中で自動車を販売しているトヨタ自動車には大打撃ですね。
認証不正の影響を尾を引いている
またトヨタ自動車特有の問題も直近の株価の不調の要因になっています。
自動車などの量産に必要な認証「型式指定」を巡りトヨタ自動車をはじめとした日本の大手自動車メーカー計38車種で不正行為が見つかりました。
国交省によると計38車種について、衝突試験車両の加工や安全・環境基準に関わる書類の改ざんが確認された。トヨタは生産中の「ヤリスクロス」など3車種の歩行者保護試験に関し虚偽のデータを提出した。3車種は2023年度に計約12万台販売された。
「クラウン」といった過去生産車でも衝突試験の際に試験車両を加工するなどトヨタの不正は6つの手法が確認された。豊田章男会長は3日に開いた記者会見で「お客様、車ファン、全てのステークホルダーの皆様に心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
参照:日経平均
これによりトヨタ自動車では累計170万台、7車種で出荷停止の対象となっています。
トランプ大統領が実現すれば電気自動車普及の修正により追い風
ここまではトヨタ自動車に対する逆風についてお伝えしてきました。
ただ、トランプ大統領が実現すればトヨタ自動車にとって追い風になる可能性があります。
年初から好調に推移する日本の自動車株。背景には円安や企業業績のみならず、電気自動車(EV)を敵視するドナルド・トランプ氏が米国の大統領に返り咲いた場合、日本の自動車メーカーの追い風になるとの思惑も渦巻く。
理由は簡単だ。トランプ氏が当選すれば現職のジョー・バイデン大統領が注力するEV普及を後押しする政策が大幅に修正され、結果的にトヨタ自動車など現時点でハイブリッド車(HV)やガソリン車、ディーゼル車への依存が大きいメーカーにとってはプラスに働くというものだ。
参照:Bloomberg
トランプ大統領になる可能性が高い状態ではありますが、バイデン大統領の後継に指名されたカマラハリス副大統領の勢いもあり余談を許さない状況です。
大統領選の勝敗がはっきりするまでは、あくまで期待というレベルにとどめておきましょう。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
- トヨタグループ株式ファンドはTOPIXを構成するトヨタグループを組み入れ
- トヨタ自動車が全体の50%をしめ、残りは時価総額加重平均
- リターンは日経平均と殆ど同じ
- 為替、景気、不正問題の点からは逆風
- トランプ大統領誕生となれば追い風