「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」というテーマ投信について今回は調査してみました。
もちろん、どこかで筆者も購入を検討する可能性があるからです。
テーマ投信というのは、金融緩和時のみ好調になる類のものが多く、基本的には寿命は短く長期投資にはあまり向きません。
金融引き締めで下落しそのまま戻ってこないパターンが多々あります。
この記事では長期で投資を考えている人に、「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(ゼロコンタクト)」は検討の余地があるのかどうかを考察していきます。
今後の見通しについてもお伝えしていきます。
Contents
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(ゼロコンタクト)の概要
ゼロコンタクトの概要は以下の通りです。
商品分類:
- 単位型・ 追加型:追加型
- 投資対象 地域:内外
- 投資対象資産 (収益の源泉):株式
属性区分:
- 投資対象資産:その他資産 (投資信託証券 (株式 一般))
- 決算頻度:年1回
- 投資対象地域:グローバル (含む日本)
- 投資形態:ファミリー ファンド
- 為替ヘッジ:なし
それぞれ特徴を見ていきましょう。
テーマ:デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションに関する銘柄に特化した投資をする投資信託となっています。
デジタルトランスフォーメーションは日本でも「DX」と多くの企業で叫ばれていますよね。あらゆる生活、仕事をデジタル化しようという動きです。
企業が、ビッグデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。
まさに今流行りの領域といえます。そして、デジタルトランスフォーメーションの中の「ゼロ・コンタクト」。
つまり非接触型のテクノロジーにさらに特化しているということになります。
DXの中でも、人との接触を避ける、いわゆる非接触(ゼロ・コン タクト)ニーズ*が高まりつつあることなどから、「ゼロ・コンタクト」 を当ファンドの愛称としています。
*リモートワークやオンラインショッピング、オンライン診療などに対するニーズ
リモートワークであればビデオ会議、チームチャット、オンラインショッピングはAmazonなどを始めとしたEC領域ですね。
いくらでもこの非接触DXに当てはまりそうな銘柄はあります。
ゼロ・コンタクトの手数料
テーマ投信はアクティブ投信であり、常に指数をアウトパフォーむすることが求められます。
つまりは、多額の人件費、調査費などファンド運営費がかかります。それらを投資家で賄う必要があります。
購入手数料が3.3%(税込)、信託報酬が1.7985%(税込)となっています。
初年度は5%以上手数料がかかるので、リターンは最低でも6%以上ないと損失を抱えてしまいます。
やはりアクティブ投信は高いですね。
為替ヘッジなしが意味するところとは?
ゼロコンタクトは為替ヘッジなしとなっています。つまり、為替リスクを負うということですね。
投資しているのは主に米国企業なのでドル円が上昇すれば基準価額は上昇し、ドル円が下落すれば基準価額は下落します。
ご存知の通り2024年にはドル円は162円まで急激に円安が進展しました。
しかし、米国の景気後退懸念と日本銀行の利上げによる日米金利差の縮小でドル円は140円台半ばまで下落しています。
この流れは始まったばかりです。流れが継続して円高になると当然基準価額には下押し圧力になります。これからの為替見通しについては後述します。
ゼロ・コンタクトの掲示板などでの口コミ評判
少しだけ評判を見ておきましょう。
お客様から聞いた話
某証券会社で買った
『ゼロ・コンタクト』っていう投信があまりにも酷いらしい...10億買い付けたものが今は3億円らしい。それよりも憤ってるのは、担当者から全くフォローの電話が無いらしい。
え?
ゼロ・コンタクトってそういう事??— マンボー@ライフロングプランナー (@LP_Takumanbow) June 16, 2022
おはようございます🐬
土日曜の天然♨️&美味しい食事🍛🐓に体調バッチリ✨✨🤗
今週も乗り切れます✌️笑笑5月に購入したゼロ・コンタクト株ファンドもバッチリ📈👀
全く盛り上がらない‼️
東京五輪まであと18日💦💦今週も宜しくお願いします🙏 pic.twitter.com/J9Kr5e05kc
— オフィスkei (@kei56243563) July 4, 2021
個人の感想ですが、こういうのには手を出してはいけない気がする…
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド 《ゼロ・コンタクト》https://t.co/mWhstYOvOu
— retareta (@GoOhta5050) February 16, 2022
Yahoo!ファイナンスですと、証券会社の販売担当者などが恨まれているようです・・・。
「完全に終わったな😨😰😥😓もう償還終了の基準価格やな🥶」
「恨み節以外何も無し。
1000万が・・・・・目が飛んだ」「銀行が〜とか、証券会社が〜とか言ってますけど、最終判断は投資家である購入者です。
この投信を信じて買って結果がダメだっただけです。
切り替えましょう。」「だいたい銀行員が投資信託の手数料稼ぎする事が被害者を多くした。
年寄り相手に1000万注ぎ込んだ人もいるとか…
恐ろしことです」「私の日興の担当は知らない間に担当が別の人に変わり、新しい担当は何事もなかったのような振る舞いでムカつきます。w」
「めっきり日興からの電話が無くなりました」
「ここまでくると損切りレベルにならん😓」
テーマ型投信は難易度が高いです。 経済見通しを理解していないと、大怪我をしてしまいます。
まだ運用パフォーマンスは確認していませんが、手を出さないようにするのが基本的に賢明です。
ゼロ・コンタクトの気になる利回り(パフォーマンス・運用実績)は?
それでは一番気になる過去の実績を見ていきましょう。
基準価額チャートの推移と運用利回り
重要なのは運用実績です。以下がゼロコンタクトの基準価額の推移です。
大変なことになっていますね。ファンド運用開始時2020年7月に10,000円だった基準価額が2024年7月末時点で約9,000円となっています。
実に設定来▲10%と壊滅的です。個別株ではなく投資信託ですからね。
直近のパフォーマンスの推移は以下です。数字でも見ていきましょう。
1-3月期 | 4-6月期 | 7-9月期 | 10-12月期 | 1-12月期 | |
2024年 | 9.50% | 0.24% | - | - | - |
2023年 | 29.71% | 21.06% | -5.64% | 34.74% | 99.64% |
2022年 | -24.11% | -35.90% | -6.24% | -15.60% | -61.50% |
2021年 | -0.24% | 13.03% | -13.20% | -15.23% | -17.03% |
良いとこ無しですね。そもそもこのファンドを作る必要はあったんでしょうか?
テーマ投信の悪いところは、流行商品として流通させてたくさんの投資家を集めて損失を出させて手数料だけ貪っていく点です。
全てのテーマ投信が悪いとは言いませんが、ゼロ・コンタクトは流石にお粗末すぎるでしょう。
もっと良い、堅実にリターンを運んでくれる投資先は星の数ほどあります。
日本の証券会社はゼロ・コンタクトのようなテーマ投信ならず、ナスダックをレバレッジさせるような商品等とにかく投資家に優しくありません。
すでに上記のパフォーマンスを見て元気を失いましたが、なぜこのような体たらくな結果になっているのかを見ていきましょう。
値下がりが止まらない元凶:ゼロコンタクトの組み入れ銘柄
2024年7月末のポートフォリオは以下となります。
ROBLOX、ROKUなど、巣篭もり企業として2020年に確かに大きく株価はあげましたがもう終わった企業ではないでしょうか?
コインベースも入っていますが、暗号通貨は金融引き締め期に一番に暴落しますので、まだポートフォリオの中に入っていることすら信じられません。
ちなみに助言を受けているアーク社の旗艦ファンドであるARKKとの構成上位銘柄の比較です。
基本的に構成銘柄はにているのですが、直近よいパフォーマンスを残しているTSLAをゼロコンタクトは入れていないのは残念ですね。
ゼロコンタクト 2024年7月末時点 |
ARKK 2023年8月3日時点 |
|
1 | ROBLOX | TDLA |
2 | COINBASE | COINBASE |
3 | ROKU | ROKU |
4 | ROBINHOOD | BLOCK |
5 | SHOPIFY | UIPATH |
6 | BLOCK | CRISPRセラピューティクス |
7 | PALANTIR | ROBLOX |
8 | DRAFTKINGS | ZM |
9 | UNITY | ROBINHOOD |
10 | META | UNITY |
ゼロコンタクトの過去からの上位銘柄の推移は以下となります。
基本的に株価の上下動で順位は入れ替わっていますが、積極的に銘柄を入れているというわけではなさそうですね。
2024年7月 | 2024年3月末 | 2023年10月末 | 2023年6月末 | 2023年4月末 | 2022年11月末 | 2022年10月末 | 2022年5月末 | |
1 | ROBLOX | COINBASE | COINBASE | COINBASE | SHOPIFY | ROKU | ZOOM | ZOOM |
2 | COINBASE | BLOCK | ROKU | SHOPIFY | COINBASE | ZOOM | ROKU | ROKU |
3 | ROKU | UNITY | ZOOM | UNITY | ROKU | SHOPIFY | SHOPIFY | COINBASE |
4 | ROBINHOOD | ROKU | ROBLOX | ROKU | BLOCK | BLOCK | ROBROX | TWILIO |
5 | SHOPIFY | ROBLOX | SHOPIFY | BLOCK | Draftkings | UNITY SOFTWARE INC | TWILIO | BLOCK |
6 | BLOCK | DRAFTKINGS | DRAFTKINGS | ZOOM | ZOOM | Draftkings | COINBASE | SHOPIFY |
7 | PALANTIR | ROBINHOOD | BLOCK | Draftkings | ROBLOX | TWILIO | BLOCK | SEA |
8 | DRAFTKINGS | SHOPIFY | UIPATH | ROBLOX | UNITY | ROBROX | Draftkings | Unity |
9 | UNITY | UIPATH | UNITY | UiPath | UiPath | COINBASE | UiPath | UiPath |
10 | META | PALANTIR | TWILIO | TWILIO | TWILIO | UiPath | NETFLIX INC | Draftkings |
ゼロ・コンタクトはまさにCOVIDパンデミックの初期の株式市場の上昇期にのみ、買ってもよかったテーマ投信と言えます。
しかし、そもそもゼロコンタクトが組成されたのが2020年7月と巣篭もりバブル後半でした・・・。
証券会社の人達がバブルなのでファンド組成して投資家に販売しよう、という話になったのかもしれません。
しかし、バブルと認識できるタイミングが売りのタイミングです。
まだ保有している人は何を期待しているのかわかりませんが、早めに降りたほうが良いと私は思います。
旬が終わり、金融引き締めはまだ続いています。
テクノロジーは手垢がつきまくっているので10年スパンで我慢できるなら良いですが、それは多大な機会損失となってしまいます。
相場環境に依拠せず安定してリターンを積み上げる投資先とは?
ゼロコンタクトのようなテーマ型の投信はタイミングをい計らって投資することが非常に重要になります。
ただ、このタイミングを見計らうというのはプロでも難しい難易度の高いものとなります。
値動きの激しいハイテク系の銘柄の場合は特に難しく、個別株投資を行うのと同様のスキルが求められます。
→個別株投資は難しい!?悲惨な結果でもうダメとならないために!株式投資において儲かる可能性が高い「必勝法」を理論的に模索する!
長期的な観点にたって資産形成を行うのであれば、相場環境によらず安定したリターンを積み上げていくファンドに投資をする必要があります。
大きな暴落に見舞われるだけでメンタルに大きな傷を抱えますからね。日常生活にも支障をきたします。
上記の条件を満たす投資先として筆者が投資をしているのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドは上記の通り、S&P500指数や日経平均が暴落する局面でも暴落を回避しながら高いリターンを出し続けています。
以下では上記のような動きをするヘッジファンドについて、筆者が投資しているものを中心にお伝えしていますのでご覧頂ければと思います。
売り時や解約時はいつ?今後の見通し
売り時、解約はもうすでに今でも遅いですが、早めの方が良いでしょう。売り時は残念ながらファンド組成されたタイミングです。
現在はゼロコンタクトのパフォーマンスは悲惨ですが、これは2022年から30%以上進んでいる円安によって支えられた上で-35%です。
現在、米国では高金利と高インフレによって景気後退が近づいてきています。
経済を不況に陥れてでもインフレを退治しなければならないという、米国のお粗末な金融政策が実行されているのが今であり一寸先は闇です。
不況がくるということは、長期金利の差で進んでいた円安も解消され、ゼロコンタクトのパフォーマンスはさらに地に落ちることになります。
今までドル円は日米金利差に連動する形で上昇してきただけですからね。不況に陥ると米金利が低下して自動的にドル円も下落することになります。
ゼロコンタクトのポートフォリオに入っている成長銘柄はもう旬を終え、株価はいつ戻ってくるのかわからない状況となっています。
まだまだ、投信のパフォーマンスは下落余地がありますので、早めに手を引くようにしましょう。
今後もしばらく浮上は不可能だと思います。全ての経済指標がそう物語っています。
以下では筆者が長年の投資経験から、おすすめ投資先をまとめたものがありますので参考にしてみてください。